夜中、ようやく寝かしつけた赤ちゃんが、隣で寝ている旦那さんのいびきで突然目を覚ましてしまう…。そんな状況に、ストレスを感じているママは少なくありません。赤ちゃんの睡眠は非常に繊細で、一度起きるとなかなか再び寝付けないことも。しかも、ママ自身も寝不足の中で赤ちゃんの対応に追われることで、夫婦関係にも育児にも悪影響が及ぶことがあります。
いびきは「仕方のないもの」と軽く見られがちですが、実はその背後に生活習慣の乱れや病気の兆候が隠れていることもあります。放っておけば、赤ちゃんの健やかな成長にも影響を与えかねません。
本記事では、「旦那のいびきで赤ちゃんが起きてしまう」という悩みに向き合い、その原因・影響・具体的な対策・治療法について、わかりやすく解説します。家族みんなが安心して眠れる夜を取り戻すために、できることから一歩ずつ始めていきましょう。
なぜ旦那のいびきで赤ちゃんが起きてしまうのか?
「赤ちゃんはすぐ起きる」とはよく言われますが、その睡眠の浅さは大人とは比べものにならないほど敏感です。特にいびきのような突発的かつ断続的な音は、赤ちゃんの睡眠を簡単に妨げてしまいます。では、なぜ旦那さんのいびきが赤ちゃんの睡眠にそれほど影響するのでしょうか?
赤ちゃんの睡眠は非常に浅い
新生児や乳児の睡眠は、大人のように深い眠りと浅い眠りを繰り返す「睡眠サイクル」がまだ未発達で、約30〜50分おきに浅い眠りに移行します。そのため、ほんの少しの物音でも簡単に目が覚めてしまうのです。
とくに生後6ヶ月頃まではレム睡眠(浅い睡眠)の割合が多く、外的な刺激に対する感受性が高い時期です。音や振動はもちろん、環境の変化にも敏感に反応します。
いびきの音量は思った以上に大きい
いびきは“寝ているだけの音”と思いがちですが、実際には50〜90デシベル程度にも達することがあり、これは目覚まし時計や会話の声に匹敵するレベルです。特に、寝室が狭く壁の反響がある家庭では、音がより大きく感じられることも。
また、低音で連続的に響くタイプのいびきは、赤ちゃんの聴覚には特に刺激が強いとされています。小さな体の赤ちゃんにとって、近距離で鳴り響くいびきは十分に“騒音”と感じられるのです。
夜間の騒音が赤ちゃんに与える影響とは
赤ちゃんが夜中に何度も起きてしまうと、脳の発達や情緒面にも影響が出る可能性があります。睡眠は、記憶の定着や神経の成長に深く関わっており、継続的な中断は成長ホルモンの分泌にも影響する可能性があると指摘されています(厚生労働省 e-ヘルスネットより)。
さらに、ママの睡眠不足が続けば育児疲れや産後うつのリスクも高まります。結果として、家庭全体の雰囲気や夫婦関係にも悪影響を及ぼすことになるのです。
いびきの原因を理解しよう
旦那さんのいびきを「うるさい」「迷惑」と感じてしまうのは当然ですが、まず大切なのは**“なぜいびきをかいているのか”という原因を知ること**です。原因によって対策や治療の方法も異なるため、正しい理解が家族全員の安眠につながります。
生理的・一時的ないびきの原因
いびきには、一時的な要因で発生するものがあります。代表的な原因としては以下のようなものが挙げられます:
-
疲労・睡眠不足:筋肉の緊張が緩み、舌や軟口蓋が気道をふさぎやすくなる
-
仰向けで寝ている:重力で舌が喉側に落ち込み、空気の通り道が狭くなる
-
飲酒:アルコールによって喉の筋肉が弛緩し、いびきを誘発しやすくなる
-
肥満傾向:首周りの脂肪が気道を圧迫しやすくなる
これらは、生活習慣を見直すことで比較的早く改善が見込めます。もし旦那さんのいびきが特定の条件下でだけ発生している場合、一時的な要因の可能性が高いでしょう。
慢性的ないびきは病気のサイン?
いびきが毎晩続くようであれば、注意が必要です。とくに疑われるのが「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」です。これは、睡眠中に10秒以上の呼吸停止が繰り返される病気で、重症になると健康に深刻な影響を与えることがあります。
以下のような症状が見られる場合は、医療機関での検査をおすすめします:
-
大きないびきの直後に呼吸が止まり、再び大きないびきとともに息を吹き返す
-
起床時の頭痛や強い倦怠感がある
-
日中の強い眠気や集中力の低下がある
-
高血圧や糖尿病を指摘されている
SASは保険診療の対象となり、適切な診断と治療を受けることで改善可能です。
パートナーのいびきを軽視してはいけない理由
いびきが赤ちゃんの睡眠に影響を与えるだけでなく、旦那さん本人の健康に関わる場合もあります。特にSASを放置すると、心筋梗塞や脳卒中、高血圧などのリスクが高まることが知られています。
また、いびきによって夫婦で別室で寝るようになったり、会話が減ったりすることで、家庭内の距離感が広がってしまうこともあります。
いびきは「うるさい音」ではなく、「体と心のサイン」であるという意識を持ち、パートナーとしても真剣に向き合うことが大切です。
赤ちゃんとママの安眠を守る対策とは
旦那さんのいびきが原因で赤ちゃんが起きてしまう状況が続くと、ママの心身にも大きな負担がかかります。ですが、いびきの根本的な治療に時間がかかる場合でも、今すぐできる対策はたくさんあります。
ここでは、赤ちゃんとママの睡眠を守るための実践的な対策をご紹介します。
寝室の配置・環境を見直す
最も簡単に始められるのは、寝室の配置を変えることです。赤ちゃんと旦那さんの距離を物理的に離すことで、いびきの音が赤ちゃんに届きにくくなります。
具体的な方法:
-
赤ちゃんのベビーベッドをいびきの届きにくい位置に移動
-
パーテーションや本棚などを仕切り代わりに使う
-
別室で寝かせる(ベビーモニターの併用)
また、カーテンやカーペットなどの布製品を多めにすることで、音の反響を抑える効果も期待できます。
音対策(ホワイトノイズ、遮音グッズなど)
赤ちゃんがいびきで起きてしまう場合、「ホワイトノイズ」の導入は非常に有効です。ホワイトノイズとは、雨音や風の音、扇風機の音など一定の周波数の音を流すことで、環境音を打ち消してくれる作用があります。
おすすめの方法:
-
ホワイトノイズマシンやアプリを使う
-
扇風機の弱風を常に回しておく
-
スマートスピーカーで自然音を流す
さらに、遮音カーテンやドア隙間用の防音テープを使うと、寝室全体の防音性を上げることが可能です。
いびきを軽減する習慣・生活改善とは
根本的な解決には、旦那さん自身の生活習慣の見直しが欠かせません。いびきの軽減に効果的とされる習慣を以下にまとめます。
-
横向きで寝るようにする:仰向けで寝ると舌が落ちやすく、いびきが悪化します
-
寝る直前の飲酒を控える:アルコールは喉の筋肉を弛緩させ、いびきを誘発
-
適正体重の維持:肥満による気道圧迫がいびきの原因に
-
鼻詰まりを解消する:市販の鼻腔拡張テープや蒸気吸入で通りを良くする
また、「いびき録音アプリ」などを活用して、自分のいびきの状態を可視化することで、本人も問題を自覚しやすくなります。
旦那のいびき治療は保険適用される?
旦那さんのいびきが日常生活に支障をきたしている場合、「医療機関での治療」を検討することも現実的な選択肢のひとつです。とはいえ、治療費がどの程度かかるのか、保険が適用されるのかどうかが気になるところ。ここでは、保険診療の対象になる治療法や費用の目安について詳しく解説します。
治療が必要かどうかの見極め
いびきが単なる一時的なものか、あるいは病気に起因するものかによって、治療の必要性が変わってきます。とくに、以下のような症状がある場合は**「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の可能性が高く、医療機関での診断が推奨されます。**
-
いびきの途中で呼吸が止まる
-
起床時に強い疲労感がある
-
日中の眠気が異常に強い
このような症状が見られる場合は、睡眠外来や耳鼻咽喉科などでの検査を受けることで、保険適用の対象になる可能性があります。
治療法とその費用の目安
保険適用される主な治療には以下のようなものがあります:
-
CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)
月額約4,500円〜5,000円(3割負担)
睡眠時に鼻に装着する機械を使って気道を開き、無呼吸を防ぐ治療。 -
マウスピース治療(歯科装着型)
初診・検査・作成費込みで約15,000〜20,000円程度(3割負担) -
外科手術(扁桃摘出・鼻中隔矯正など)
入院・手術込みで数万円〜数十万円(3割負担)
※手術内容や病院によって大きく異なる。
これらは医師の診断を経て「医学的に必要」と判断された場合に限り、保険診療の対象となります。
保険診療と自由診療の違い
一方で、レーザー治療や美容目的のいびき治療は自由診療扱いとなり、保険は適用されません。このような治療は1回につき5万円〜10万円以上かかることもあり、費用面でのハードルが高くなります。
保険が適用されるかどうかの判断は自己判断では難しいため、まずは専門医に相談し、検査を受けることが第一歩です。
家族で乗り越えるために|パートナーとの向き合い方
旦那さんのいびきに対して「うるさい」「なんとかして」と言いたくなる気持ちは当然ですが、指摘の仕方によっては、夫婦間の関係がギクシャクしてしまうこともあります。特に赤ちゃんが生まれて間もない時期は、お互いに余裕がなくなりやすいため、慎重なコミュニケーションが求められます。
伝え方に工夫を
いびきを指摘する際は、攻撃的な言葉ではなく、共感と協力を前提とした表現を使いましょう。
NG例:
「あなたのいびき、ほんと迷惑!」
「どうして治そうとしないの?」
OK例:
「最近、赤ちゃんが音に敏感みたいでね…」
「ちょっといびきが気になって、どうにかできると助かるんだけど」
旦那さん自身も、自分のいびきで赤ちゃんが起きていると知れば、改善に前向きになってくれる可能性があります。
「いびき=一緒に解決する問題」という姿勢で
いびきは「本人の問題」と捉えがちですが、実際は家族全体の健康と生活の質に関わる課題です。そのため、「一緒に解決していこう」という姿勢が大切です。
たとえば、生活習慣の改善も二人で取り組めることがあります:
-
夜のアルコールを控える(家族でノンアル習慣)
-
寝室の環境を夫婦で見直す
-
体重管理を夫婦で支え合う
小さな変化でも、「頑張ってくれてありがとう」と言葉にすることで、旦那さんのモチベーションも高まります。
育児のストレスと睡眠不足を溜め込まないコツ
いびき問題に限らず、育児中のストレスや睡眠不足は誰でも抱えるものです。一人で抱え込まず、周囲に相談したり、少しでも自分の時間を持つことが大切です。
-
実家や親しい友人に一時的に協力してもらう
-
赤ちゃんが寝ている間に5分でもリラックスする
-
SNSやオンラインコミュニティで同じ悩みを持つ人とつながる
「寝不足なのは自分だけじゃない」と思えるだけでも、気持ちは軽くなります。
赤ちゃんの睡眠と家族の健康を守るために
旦那さんのいびきによって赤ちゃんが起きてしまう――そんな日々が続けば、ママのストレスは限界に達し、家族全体の生活にも悪影響を及ぼします。しかし、いびきの仕組みや原因を知り、適切な対策や治療を講じることで、状況は大きく改善する可能性があります。
物理的な環境の見直しやホワイトノイズの導入といった即効性のある対策から、生活習慣の見直しや医療機関での治療など根本的な解決まで、選択肢は多様です。また、いびきを責めるのではなく、「家族みんなの安眠を守りたい」という前向きな姿勢で話し合うことで、夫婦の絆も深まるはずです。
赤ちゃんにとっても、ママやパパにとっても、質の高い睡眠は健康と笑顔の源です。できることから一歩ずつ取り組み、家族みんなが安らかに眠れる毎日を手に入れましょう。
参考・引用元
-
厚生労働省 e-ヘルスネット|いびきと睡眠時無呼吸症候群
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-004.html -
日本睡眠学会|睡眠と健康に関する基礎知識
https://jssr.jp/data/health.html -
日本耳鼻咽喉科学会|いびき・無呼吸の診療ガイドライン
https://www.jibika.or.jp/ -
ガーデンクリニック|いびき治療の選択肢と料金
https://www.garden-senbi.jp/snore/ -
子育て支援ポータル「ままのて」|赤ちゃんの睡眠と音の関係
https://mamanoko.jp/