いびきマウスピースは効果ない?効果が出る人・出ない人の違いと正しい対策

いびき対策

「いびき対策にマウスピースを使ってみたけど、全然効果がなかった…」そんな体験をした方も多いのではないでしょうか。いびき防止用のマウスピースは、手軽に入手できる市販品から医療機関で作るオーダーメイド品まで幅広く存在します。しかし、効果を実感できるかどうかは人によって大きく差があるのが実情です。

この記事では、「いびきマウスピースは本当に効果がないのか?」という疑問に対して、効果がある人とない人の違い、適切な使い方や見極め方を徹底解説します。
単に「効かなかったから諦める」のではなく、自分に合った対策を見つけるヒントを得るために、ぜひ参考にしてみてください。

いびき防止マウスピースとは?

いびき対策グッズの中でも代表的な存在である「いびき防止マウスピース」。就寝時に口内に装着することで、気道を広げていびきを抑える効果が期待されています。しかし、種類や使用法によってその効果には差が出るため、まずはマウスピースの基本的な仕組みと種類について理解することが大切です。

どのようにしていびきを防止するのか

いびきは、睡眠中に気道が狭くなることで、空気の通り道が振動し「グーグー」と音が鳴る現象です。マウスピースはいびきの主な原因である「気道の閉塞」を防ぐ役割を担います。

特に多く使われているのが、「下顎前方移動型マウスピース(Mandibular Advancement Device:MAD)」というタイプです。これは、下あごを前方に軽く引き出すような形状になっており、舌の付け根が喉に落ち込むのを防いで気道を確保する設計になっています。

このタイプは特に「舌根沈下型」と呼ばれるタイプのいびきに効果的とされており、軽度から中等度の「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)」にも適応されることがあります。

市販品と医療用の違い

いびき用マウスピースには、大きく分けて以下の2種類があります。

  • 市販品:ドラッグストアやネット通販で手軽に購入でき、価格は2,000円〜5,000円程度。シリコンや熱形成タイプが多い。手軽だがフィット感や効果には個人差が大きい。

  • 医療用・オーダーメイド品:歯科や耳鼻咽喉科で作成されるタイプ。個人の歯型に合わせて作られ、効果と装着感に優れる。医師の指導のもと使用されるため安全性も高い。

特に医療用は、保険適用対象(後述)になるケースもあるため、「市販品で効果がなかった」という方は、医療機関での相談をおすすめします。

保険適用の可能性と費用

「いびきがひどい」「呼吸が止まるような症状がある」など、医学的に「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」と診断された場合、オーダーメイドのマウスピースは保険適用の対象となることがあります。

保険適用される場合、自己負担3割で約15,000円〜20,000円程度が一般的です。市販品よりは高価ですが、効果や安全性を考慮すれば費用対効果は高いと言えるでしょう。

マウスピースが「効果ない」と感じる主な理由

「マウスピースを使っているのにいびきが改善しない」と感じる人は少なくありません。その原因は、製品そのものの問題ではなく、使い方や体質、いびきのタイプとの相性によるものかもしれません。ここでは、効果を感じにくい典型的な理由を解説します。

いびきのタイプに合っていない

いびきにはいくつかのタイプがあり、マウスピースの効果が出やすいものとそうでないものがあります。

  • 舌根沈下型(舌が喉側に落ち込む):マウスピースの主な対象で効果が出やすい

  • 鼻づまり型(鼻の通りが悪い):マウスピースでは改善されにくい

  • 軟口蓋型(喉の奥が振動):効果が出る場合もあるが個人差が大きい

  • 多因子型(複合的な原因):単体の対策では不十分になることも

たとえば、アレルギー性鼻炎によっていびきが起きている場合、気道を広げても改善しないケースがあります。このように、自分のいびきの原因がどこにあるのかを理解していないと、マウスピースの効果を感じられないことがあります。

装着方法やサイズが合っていない

マウスピースは「ただ口に入れれば効果がある」というものではありません。とくに市販品の場合、サイズが合っていなかったり、正しく装着できていないと効果が激減します。

  • 上下の歯列にしっかりフィットしていない

  • 睡眠中に外れてしまう

  • 顎や歯に痛みを感じて途中で使用をやめてしまう

こうしたケースでは、いびきの原因に働きかけるどころか、逆に睡眠の質を下げてしまう可能性もあるため注意が必要です。

市販品で済ませてしまっている

市販のマウスピースは手軽に始められるメリットがありますが、個々の口腔形状に合わせて作られていないため、効果にばらつきが出やすいのが現実です。また、安価なものでは素材が硬く違和感が強くて続かない場合も。

一方で、医療機関で作られるマウスピースは、歯型や顎の動きまで考慮して設計されているため、効果も安定しやすく、装着感も良好です。
「市販品を使っても効果がない」と感じたら、専門医での相談を検討することが、次の一手になります。

マウスピースが効果を発揮する人・しない人

マウスピースによるいびき対策は、「効く人には劇的に効く」が「効かない人にはまったく意味がない」と感じられることがあるため、自分がどちらのタイプかを見極めることが大切です。ここでは、効果が出やすい人・出にくい人の特徴と、それぞれの対応策を整理します。

効果がある人の特徴

マウスピースが効果を発揮する人には、次のような共通点があります:

  • 舌根沈下型のいびき(下顎を前に出すことで気道が広がる)

  • 軽度〜中等度の睡眠時無呼吸症候群と診断された人

  • 顎の形状や歯並びが安定していて、装着がしやすい人

  • 歯ぎしりの習慣がない(マウスピースが外れにくい)

  • 医療機関でオーダーメイドのマウスピースを作成している

このような人は、マウスピースを使い始めて数日〜数週間でいびきの軽減を実感するケースが多く、家族からも「静かになった」と言われることが増えます。

効果が出にくい人の傾向と対処法

一方で、次のような人はいくらマウスピースを使っても効果が薄い傾向があります。

  • 鼻づまりが主な原因(アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎など)

  • 喉や口蓋(上あご奥)の筋力が極端に低下している高齢者

  • 肥満が原因で気道が圧迫されている人

  • 顎が小さく、マウスピースがうまく装着できない人

  • 市販品を使用していて、サイズや形が合っていない

こうした場合、マウスピースにこだわり続けるよりも、他の治療法への切り替えを早めに検討することが重要です。

他の治療法を検討すべきケース

マウスピースで効果が得られなかった場合、以下のような治療法も視野に入れるとよいでしょう:

  • CPAP療法(持続陽圧呼吸療法):無呼吸や重度いびきに有効

  • 鼻の通りを改善する治療:鼻腔拡張テープ、点鼻薬、手術など

  • レーザー治療や軟口蓋形成手術:口蓋垂や喉の振動を減らす手術

  • 生活習慣の改善:減量、禁酒、横向き寝などの習慣の見直し

一つの方法で改善が見られない場合も、複数の対策を組み合わせることで、いびきの改善率は飛躍的に高まります。

効果を最大化するための工夫と注意点

マウスピースは正しく使えば非常に効果的ないびき対策になりますが、使い方や周辺環境の整備によってその効果は大きく変わります。ここでは、マウスピースの効果を最大限に引き出すための工夫と注意点を紹介します。

専門医での診断とオーダーメイドが重要

いびきの原因や口腔構造には個人差があり、自己判断でマウスピースを選ぶと効果が出ないことが多いです。そのため、まずは耳鼻咽喉科や睡眠外来などの専門医で診断を受け、必要に応じて歯科でオーダーメイドのマウスピースを作ることがベストです。

専門医では、睡眠中の無呼吸の有無を調べる「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」などを通じて、どのタイプのいびきかを明確に診断してもらえます。 その結果に基づき、最適なマウスピースの設計が行われるため、効果の出る確率が格段に上がります。

睡眠環境の見直しと併用すべき対策

マウスピースの効果を引き出すためには、他の生活習慣や環境にも目を向ける必要があります。

  • 寝姿勢の改善:仰向け寝はいびきを悪化させるため、横向きで寝る工夫を

  • 枕の高さ:首が過度に曲がると気道が狭くなるので、枕を見直す

  • 寝室の湿度:乾燥した空気は鼻や喉を刺激し、いびきを誘発する

また、飲酒や喫煙は気道の筋肉を緩めていびきを助長するため、マウスピース使用中は控えることが推奨されます。

使い続けることで改善する場合も

最初は違和感があっても、数日〜数週間で慣れてくるケースが多いです。逆に、「一晩使って効果がないからやめた」というのは非常にもったいない選択です。

マウスピースは継続使用によって効果が安定してくるものなので、医師の指導のもと、少なくとも1ヶ月は継続することをおすすめします。定期的にメンテナンスや微調整も行えば、長期的な効果が期待できます。

マウスピースが合わないと感じたら次の選択を

いびき対策として広く使われているマウスピースですが、すべての人に万能というわけではありません。舌根沈下型など特定のタイプのいびきには高い効果を発揮する一方で、鼻づまり型や肥満が原因のいびきには向いていないこともあります。

「マウスピースは効果ない」と感じる人の多くは、自分に合っていないタイプを使用していたり、正しい装着ができていなかったりするケースが大半です。また、市販品のみに頼らず、医療機関での診断とオーダーメイドの作成を受けることで効果の実感度は大きく変わります。

もしマウスピースで十分な効果が得られない場合でも、CPAP療法やレーザー治療、生活習慣の見直しなど、他の選択肢を検討することで改善の道はあります。

いびきは放っておくと、本人だけでなく家族の睡眠の質にも悪影響を与える深刻な問題です。正しい知識と対策で、自分に合った方法を見つけ、ぐっすり眠れる毎日を取り戻しましょう。


参考・引用元

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット|睡眠時無呼吸症候群(SAS)
     https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-004.html

  2. 日本睡眠学会|睡眠時無呼吸の治療指針
     https://jssr.jp/data/sas_guideline.html

  3. ガーデンクリニック|いびき治療(マウスピース・レーザー)
     https://www.garden-senbi.jp/snore/

  4. MEDLEY|いびきの原因と治療法
     https://medley.life/diseases/5536a47b6ef4585e448b4577/

  5. 日本耳鼻咽喉科学会|睡眠呼吸障害への対応
     https://www.jibika.or.jp/

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